**No.19**

目を覚ますと、ベッドの上で寝ていた。

「千紗!目ぇ覚めたか?」裕二が言った。

「ここどこ?」

「病院だよ。千紗さっきいきなり倒れて・・・それで駿と一緒に運ばれたんだ。

医者の人が特に外傷ないから精神的にまいってるんだろうって・・・」

「そうだ・・駿・・・駿は?!」

「・・・・あいつ・・・今手術中だよ・・・かなり危ないって・・・」

「そんな・・・ほんとはあたしがああなるはずだったのに・・・・!!」

罪悪感で押しつぶされそうだった。

駿はあたしの代わりに死んでしまうかもしれない!!!

あたしなんかをかばって・・・!!!

涙が止まらない。

「千紗・・・きっと・・・きっと大丈夫だよ・・・」

裕二はそういうとあたしを抱きしめてくれた。

「あ・・・あたし・・・駿のとこに行く・・・」

「俺も行くよ。」

二人で長い廊下を歩いて手術室の前まで来た。

丁度その時、手術室の中から医者が出てきた。

「先生!!!駿は・・・駿はどうなんですか!!!」

「今のところ安定してますが意識が戻らない事には・・・」

「そんな・・・・なんで・・・・」

あたしのせいだ・・・・

あたしのせいで・・・・・

「千紗・・自分を責めるなよ・・・もう少し休もう・・・な?」

そう言うと裕二はあたしの肩を持って病室に連れて行った。

「俺がついてるから寝な。今千紗混乱してるから。」

「いや!!駿が危ないのに・・・!!あたし駿のそばにいたい!!!」

「・・・・」

あたしは病室を飛び出て看護士の人に駿の部屋を聞いた。

「あの・・っ、大羽駿の病室ってどこですか?!」

「えーっと・・・大羽さんは3085室ですね。3階の角を曲がったとこに・・」

「ありがとうございますっ・・・!!」

そう言うと急いでエスカレーター乗り場に行った。

エスカレーターはまだ13階だ・・・

階段で行こう・・!!

階段を上って3階にいった。

3085・・・・3085・・・

あった!!!ここだ!!!!

病室にはいると駿の両親がいた。

「あなたは・・・・花沢さん?」

そう言ったのは駿の母親だった。目にいっぱい涙を溜めていた。

「あ・・・はい・・・あの駿は・・・」

「まだ意識が戻らないの・・・」

「あの、二人きりにしていただけますか?駿に・・・話したいことがあるんです・・・」

「どうぞ・・・この子も聞きたいでしょうし・・・・」

「すみません・・・」

駿の両親は病室の戸を閉めて外へ出た。

あたしは椅子に座って駿を見た。

ピッ・・ピッ・・ピッ・・ピッ・・

機械の音がする。

「駿・・・あたし前に告白された時、まだ答えだせないっていったでしょ?あの

時ずっと悩んだの。どっちにしようかって・・・

でもやっぱり答は出なくって・・・

今日あたしがなんで自殺しようとしたかってゆうとね、・・・今日の朝偶然由梨

達の本音聞いて・・・生きる勇気失くしたんだ・・・・それで道路に出たら・・・・駿が

あたしかばって・・・・」

涙が流れ出る。

今日これで泣いたのは何回目なんだろう・・・

「・・・でね・・・駿が・・・駿が倒れた姿見て・・・・たった一瞬だったのに・・・その時

あたしやっぱり駿が好きだって気づいた・・・・だからさ・・・あたしの気持ち聞か

ないまま・・・死んだりしない・・・で・・・・」

駿の手を握った。

ピクッ

わずかだが駿の手が動いた。

「駿・・・!!!」

駿が目を開けた。

「・・・・ち・・・・・さ・・・・」

「あたしが分かるの?!そうだよ!!千紗だよっ・・!!」

「俺・・・死ななかった・・・のか・・?」

「うん!!今あたしと喋ってるじゃない!!!」

「・・・そっか・・・」

「待ってて!!今みんな呼んで来るから!!!」

病室を出て、駿の両親、先生、そして裕二のとこに行った。

「駿の意識戻ったよ!!!!」

このことを聞いた駿の両親は泣いて、先生は忙しそうに機械をいじっていた。

「もう大丈夫です。」

医者のその一言を聞いてとても安心した。










・・・・一ヶ月が過ぎた。

駿の見舞いに行くと医者が診察していた。

「先生!!駿もう退院できますか?」

「うん。明日にはもう退院してもいいよ。」

「やったぁ~!!よかったね!駿!!」

この一ヶ月間駿はリハビリに励んでいた。

あたしも毎日のようにお見舞いに行った。

「ねぇ、散歩しに行こう!!」

二人で病院の庭に行くと、裕二がいた。

「裕二!!どうしたの?」

「千紗に話したいことがあるんだ。ちょっと来てくれないか?」

「いいよ。駿、ちょっと待ってて。」

そう行って花壇のそばにあるベンチに座った。

「話って何?」

「千紗・・・お前駿の事好きなんだろ?」

「うん・・・ごめん・・・・。裕二の気持ちには答えられない・・・。今までたくさん

助けてもらって100万回ありがとうって言っても足りないくらいなのに・・・」

「その事大羽にはっきり言ったのか?」

「ううん・・・まだ・・・」

「じゃあはっきりいってやれよ。俺の事はいいから。」

「裕二・・・」

「なんかさ、すっきりしないじゃん俺が。」

裕二は少し照れくさそうに笑いながら言った。

「千紗の今の気持ち大羽に言ってやれよ。」

「・・うん!」

あたしは立ち上がった。

「言ってくる!」

「おう!がんばれよ!!」

「なんかあたしまた裕二に勇気もらっちゃったね。これからも仲良くしよ!」

「あたりまえだよ!」

裕二は立ち上がってピースをした。

「うんっ!!」

あたしもにっこり笑ってピースした。

そして駿のとこに走った。

「駿ー!!」

「千紗、もう話終ったのか?」

「うん!あたしね、駿にいいたいことがあるんだ!!」

「何?」

「あたしね、駿の事が・・・・好き!!!!」

そう言って駿に抱きついた。

駿は少し恥ずかしそうにしていた。

そしてあたしを見るとこう言った。

「俺でよければ付き合ってください!」

「はいっ!!!」

「なぁ千紗目ぇつぶって。」

「何~?」

「いいから。」

裕二はにっこり笑った。

あたしは目をつぶった。

ちゅっ

初めてのキスは最高に幸せだった。

顔を真っ赤にして駿を見た。

「これからよろしくなっ!」


次の日、駿が退院するので裕二と一緒に荷物の整理を手伝いに行った。

「これで全部か?」と裕二。

「ああ。」と駿。

「よしっ!じゃぁ行こう!」

あたしがこう言ってみんな病院の外に出た。

あの頃は冷たい雪が降っていたのに、今はもう花々が咲き乱れている。

あたしの気持ちにも変化があった。

「愛しい」と言う言葉の本当の意味が分かった気がする。

暖かい陽気の中、桜が美しく舞っていた。  **終わり**


数ヶ月間この小説を読んでくれてありがとぅございました!!
次回作もう決まってます!!
「雪の舞う日」の番外編も制作中です。
楽しみにしててくださいねっ♪





































































































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